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新調理システム「ニュークックチル」とは?

近年、大量調理の現場では従来の調理システムから「新調理システム」への変遷が進んでいます。この背景には、配食サービス利用者の抱える課題・問題や、中国地方において2020年6月からHACCP(ハサップ)が義務化されたことにより、衛生面に一層の厳しい管理が必要になったことがあります。新調理システムの中でも、調理した料理を一旦冷却して保存しておき、提供する時間に合わせて再度加熱する「クックチル」は代表的なものであり、中国地方でも多くの配食サービスで導入されています。このような新調理サービスの普及により一定の課題解決が実現したものの、次第にさらなる調理の効率化や安全面での改善を求める声が上がるようになりました。そこで誕生したのが、クックチルをさらに応用した、「ニュークックチル」という新調理システムです。ここでは、ニュークックチルとは何か、そのメリットやクックチルとの共通点について詳しく解説します。

ニュークックチルとは

クックチルは、「ピーク時の調理場に余裕が無い」「曜日や時間帯によって忙しさにバラつきがあり、調理スタッフの配置が難しい」といった、従来の調理システムの持つ課題を解消しました。多くの大量調理現場において、属人化せず安定した品質での食事提供や、衛生面での安全性確保、調理作業の効率化が可能になったのです。しかし、食事提供時に再加熱しその後盛り付けを行うクックチルにはいくつかの課題が見つかりました。特に規模の大きい病院や介護施設食では盛り付けの際に時間が掛かってしまうことや、それに伴って「再加熱後2時間以内の喫食」という制約が厳しいシーンが散見されたのです。そこでクックチルを応用し、さらなる課題を解決すべく生まれたのが「ニュークックチル」です。ニュークックチルでは、盛り付けをした状態で再加熱を行います。これにより再加熱から提供までの時間が大幅に短縮され、大規模な施設での提供にも対応可能になりました。また再加熱後に盛り付けずに済むことで人の手が加わらないので、食中毒などのリスクを低減し、より高い安全性を確保できます。このように、食の安全性確保と調理の効率化という、大量調理における2つの課題を解決できるのがニュークックチルの大きな魅力です。

調理の流れ

1.加熱調理

「スチームコンベクションオーブン(スチコン)」などで、芯温75℃以上で1分以上加熱調理します。

2.急速冷却

一次加熱の後、すぐにブラストチラーなどで急速冷却し、細菌の増殖を防ぎ料理の品質を保ちます。

3.チルド保存

プレハブ冷蔵庫などを使い、0~3℃のチルド温度帯で保存します。

4.盛付け

チルド状態のまま料理を盛付け、再加熱カートへ入れます。

5.チルド保存

再加熱カート内で、再加熱開始直前までチルド保存します。

6.再加熱

配膳時間にあわせてタイマーで自動再加熱します。

7.配膳

再加熱完了後は、カート部を取り出してそのまま配膳できます。

メリット

ニュークックチルには、大きく「食の安全性確保」と「作業の効率化」の両方でメリットがあります。

安全面のメリット

まず安全面では、クックチルと同様に一次加熱後に急速冷却することで、病原となる細菌が増殖しやすい10~60℃の温度帯を短時間で通過させられます。さらに配膳直前に再加熱するため、「加熱調理後2時間以内の喫食」という大量調理マニュアルに記された決まりをより確実に実施でき、安全性確保につながります。

効率化のメリット

効率化の面では、提供時には再加熱のみで盛り付け作業が不要であるため、スタッフに早朝出勤を強いる必要が無くなり、最小限の人員で効率良く現場を回せるようになります。また盛り付けはチルド状態で行うため、手袋を装着した状態で盛り付けられ、箸やトングを使うよりも素早い作業が可能です。さらに、再加熱カートを使用したニュークックチルでは、一人用のトレイにセットしてから再加熱カートに入れておけるので、配膳時の作業量をより緩和することも可能です。また盛り付けに時間を要して料理が冷めることが無くなるため、配膳の直前に加熱された適温でより美味しい食事を楽しめるという、食事の提供を受ける側へのメリットもあります。

クックチルとの共通点

クックチルとの共通点としては、あらかじめ料理を作り保存しておけるため、提供直前の作業時間が短縮できることが挙げられます。とはいえこの観点では、あらかじめ盛り付けして保存するニュークックチルの方が、より提供前の作業は少なく済みます。また、調理技術をマニュアル化・システム化することによって、調理技術の格差による味のバラつきを防ぎ、いつでも安定した品質の料理が提供できる点も共通しています。そしてどちらも冷却専用の機械を使って急速冷却することにより、衛生面の安全性が担保できます。このように、ニュークックチルはクックチルから生まれた新調理システムということもあり、多くの共通したメリットがあります。「かなり大規模な施設での利用を検討しているので、より提供作業の負担が少ないニュークックチルにする」など、課題感の強いポイントにフォーカスして、適切な方を選ぶのがおすすめです。

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公式HPにてHACCP基準に対応しており、中国地方での導入事例が記載されている配食サービス会社より、編集チーム内の同一人物が各社の特徴を確認したうえで、施設種類・規模に合ったおすすめを定義しています(2021年5月調査時点)。
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